SIMODA 100th Anniversary 1924-2024

Cross Talk 03

福島工場 ×
下田工業茨木

Theme

商社のメーカー機能が
果たすべきチャレンジ

福島工場 工場長

大柿 正志

プレス加工を中核とした高機能・高意匠の多種シート材やテープ材の加工技術を提供する福島工場(福島県石川町)の工場長。

https://www.shimoda-group.jp/factory/

下田工業茨木株式会社 工場長

尾熊 秀則

原料からシート押出・成形・加工まで、一貫生産ラインで樹脂製品をお客様にお届けする下田工業茨木(大阪府茨木市)の工場長。

https://www.shimoda-group.jp/ibaraki/

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ふたりの工場長それぞれの役割。

大柿

福島工場の責任者として人事や実績管理の業務を担っています。小規模な工場なので、品質保証やISO9001・IATF16949の管理責任者も兼務しています。品質トラブルや納期の遅延など何かあったときに、矢面に立ってお取引先と交渉するのが仕事です。

私はもともと下田工業に30年間おりまして、6年前に高瀬社長と一緒に下田工業茨木に移ってきました。工場長として、製造現場を無事故かつ順調に稼働させるために、問題点の把握と改善に努めています。現場の相談窓口も担っており、日頃から相談しやすい雰囲気づくりを心がけています。私がここに赴任した当初は、大柿工場長に色々と相談をしましたね。

尾熊

大柿

そうでしたね。

下田工業から茨木に来て感じたギャップを相談させてもらったり、数年前に電気代が上がったときにどれくらい上がったか、販売価格に転嫁できているか、などの相談をしました。

尾熊

大柿

同じ工場長として電話やメールで連絡を取り合っています。一緒にゴルフも行きましたね。

「大柿工場長とは実は同級生です。そのお人柄やゴルフの腕前にも憧れています(笑)。

尾熊

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ふたつの工場それぞれの強みと課題。

下田工業茨木は、1988年に製販分離を目的に下田工業から分社化された会社で、プラスチック加工事業を行っています。押出成形でプラスチックの板をつくり、その板から真空成形でさまざまな製品をつくります。産業機器のカバーや洗面化粧台、浴槽エプロンなどの住設部品、業務用と家庭用の冷蔵庫部品、車載内装加飾などを生産していますが、売上を大きく牽引しているのは食品トレーの透明フタです。厚物から薄物、大型製品から小物まで、さまざまな樹脂成形ができるのが強みです。

尾熊

大柿

福島工場も同じ1988年に福島県石川町に誘致企業として進出し、設立された工場です。茨木工場とは製造している物の量も大きさも違い、小さな工場ですが、プレス加工、スリット加工、ラミネート加工といった加工技術を活かして、高機能・高意匠のシート材やテープ材を製造しています。車載用のフィルムや乾燥剤、カップホルダーなどが主な製品です。
ISOは各社取得されていると思いますが、我々はさらに上の自動車産業向け国際的品質マネジメント規格であるIATF16949認証を取得し、高品質なものづくりを推進しています。また安全面においても通常の5Sに2Sを加えた7Sを掲げ、日々の作業を行っており、一緒に働く皆さんのおかげさまで22年、日数に直すと5,625日のあいだ休業災害「0」を継続できております。
※2024/4インタビュー当時

これは本当にすごいことです。我々にとって無事故は永遠の課題です。

尾熊

大柿

地元の高校にも求人を出していますが、「あなたたちが生まれる前から無事故」というPRはたいへん受けが良いです。

求人は課題ですね。食品トレーの工場は24時間フル稼働なので特に休みが少ないんです。それを今年度から若干ですが休みを増やしました。年間休日を増やすことで求人に人が集まるかどうかが決まるので。

尾熊

大柿

製造業ですから休みを増やしたら売上は落ちるけど、休みを増やさないと人が集まらない時代ですから、難しいところですよね。
福島工場の課題はやはりマンパワー不足です。多能工の育成をしていて、誰かが病気で休んだとしても別の人が代われるような体制づくりを進めています。

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製造部門の共創が生み出す価値とは?

大柿

我々のフィルム印刷の技術と、下田工業茨木の成形技術とを組み合わせて新しい価値を創出していきたいと考えています。自動車のパワーウィンドウやシフトノブのまわりが木目調であったり、アルミのヘアラインであったり、合成皮革が流行っていますが、この「フィルム加飾」で協業できないか相談をさせてもらっています。

金属調や木目調、皮シボ調の加飾表面に文字や数字、アイコンを浮かび上がらせる「透過加飾」という技術があります。最近の家電のスイッチがそうですよね。EV化に伴い車の操作パネルや車内の間接照明にも透過加飾が増えてくると言われています。たとえば、福島工場で樹脂部品の表面に3D印刷し、その上に我々が透過加飾フィルムを被せて成形すれば、この技術を実現することができるのです。

尾熊

大柿

運送やコストの問題はありますが、非常に価値の高いものになると思います。

これは工場側で考えることというより、下田グループの営業にコントロールしてもらうことが前提です。営業は常日頃からお客様と色々なテーマで打ち合わせしていますから、そこで下田工業茨木と福島工場との共創の可能性や、それぞれの製品価値をご提案いただけるように、下田グループの全国の営業マンにもっとアピールしていかなければならない。我々の製品認知度を高めてもらう活動が不可欠だと思っています。

尾熊

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これからの商社のメーカー機能とは?

大柿

我々は同じ会社の中の製造部門ですが、我々と同じようなものを作っている会社はいっぱいあるんですよね。競合に勝る技術力やコスト対応力、スピードは付けていかなければいけないと思います。
車載用の乾燥剤をはじめて3年になりますが、売り上げの3割を担う製品に成長しました。これまでのプレス加工とは違う、まったく新しいチャレンジをしたことが成功につながりました。

我々も同じです。下田工業茨木は大型の成形品をつくれる数少ない会社ですが、4年前にはじめた小物、薄型の食品トレーが売り上げの4割を担っています。もし挑戦していなかったらと思うと怖いくらいです。お客さまは日々新しいアイデアを考えているわけで、商社の営業マンは常にアンテナを張ってキャッチアップし、それをつなげていくのが仕事です。我々も新しいものづくりにチャレンジし、下田グループを動かす存在でありたいと思います。

尾熊